
従来のマーチンゲール戦略
従来のマーチンゲール戦略は、損失が発生するたびに投資額を倍にしていき、利益が得られるまで続けていくという取引戦略です。この戦略が目指すのは、発生した損失を取り戻すとともに、初期投資額の回収に加えて利益も確保することです。マーチンゲール方式は、負け続けていても賭けに1度だけ勝てば大逆転できるという想定を理論的土台にしています。
主なメリット
- 潜在的利益:市況が有利な場合、マーチンゲール戦略を取ることですばやく損失を回復し、利益を積み上げることができます。
- 積極的なリスクテイク:短時間で決着がつくスリルが伴う高リスク高リターン戦略なので、積極果敢なトレーダーのニーズに応えられる可能性があります。
- 単純さ:比較的容易に理解して実行できるので、経験に関わりなくさまざまなトレーダーが利用できます。
- 変動の激しい市場での優位性:先物マーチンゲール戦略は価格が乱高下する変動の激しい市場に向いており、利益を最大化できる可能性を秘めています。
- 長期予測に対する自信:市場の予測に自信があり十分な資金を保有している場合に、長期的な市場見通しに基づく多額のポジションの保有を求めるのであれば、先物マーチンゲール戦略が選択肢の一つになるでしょう。
先物マーチンゲールのしくみ
Bybit先物マーチンゲール取引ボットは、従来のマーチンゲール戦略の基本原則に基づいて構築されています。市場価格が特定の割合まで上昇または下落した時点で、ボットは自動的に追加注文を出します。この注文は事前に定められた倍数を前回発注額に乗じた金額で執行されます。これは平均参入価格を改善するための戦略的アプローチの一環です。
ラウンドあたりの利益目標が達成されて利食注文が執行され、現在のサイクルが完了するまでこのプロセスが継続します。その後ボットは、手動設定で終了させるかポジションを強制決済しない限り、新しいサイクルを開始します。先物マーチンゲール取引のレバレッジ上限は50倍になっており、市場の変動を利用して利益を獲得することができます。
例
BTCの現在の価格が26,000 USDTで、このラウンドではトレーダーは十分な証拠金を預けており、最大額の追加注文を出せると仮定します。このトレーダーは初回の注文量を0.1 BTCとしてBTCUSDTをショートすることに決め、先物マーチンゲールのパラメータを以下のとおり設定しました。
- 投資額:26,000 USDT
- デリバティブ銘柄:BTCUSDT
- 価格上昇率:2%
- ポジションの倍率:1.2
- レバレッジ:10倍
- 1ラウンドあたり最大追加量:5
- 1ラウンドあたり利益目標:2%
- ループの実行:オン
市場価格の上昇が続いた場合、価格が2%上昇するごとに、ボットは自動的により高い価格でショートの注文を出します。そして、そのラウンドでの利益目標が達成されるまで、このプロセスが繰り返されます。3度目の追加ラウンド終了後のポジションの詳細は以下のようになります。
追加 |
注文の種類 |
注文価格 |
平均保有 コスト (USDT) |
注文数量 (BTC) |
参入取引 手数料 (USDT) |
当初参入 |
ポジション建玉注文 |
26,000 |
26,000 |
0.1 |
1.56 |
1 |
ポジション増額注文 |
26,520 |
26,284 |
0.12 |
1.9094 |
2 |
ポジション増額注文 |
26,809 |
26,492 |
0.144 |
2.3163 |
3 |
ポジション増額注文 |
27,021 |
26,662 |
0.1728 |
2.8015 |
総額 |
8.5872 |
注:この例では、説明をわかりやすくするため、ポジションを正確に1.2倍ずつ増額していくと仮定しています。実際には、Bybit先物マーチンゲール取引ボットは建玉コストに基づいて注文数量を増加させます。ボットはお客様の直近の建玉コストに照らして注文証拠金のX倍の増額注文を出します。ポジション倍数が1.2に設定されている場合、注文証拠金は前回建玉コストの1.2倍になります。
追加注文の注文価格は、平均保有コストに指定の増額分または減額分を乗じて決定されます。
ロングポジションの場合:次の注文価格 = 平均保有コスト × (1 - 減額率)
ショートポジションの場合:次の注文価格 = 平均保有コスト × (1 + 増額率)
総契約価額
= ∑ 数量 × 価格
= 26,000 × 0.1 + 26,520 × 0.12 + 26,809 × 0.144 + 27,021 × 0.1728 = 14,312.12 USDT
合計注文サイズ
= ∑ 数量
= 0.1 + 0.12 + 0.144 + 0.1728 = 0.5368
平均保有価格(平均参入価格)
= 総契約価額 ÷ 合計注文サイズ
= 14,312.12 ÷ 0.5368 = 26,662 USDT
資金調達料は無視できる程度の金額だと仮定します。先物マーチンゲール取引で増額が3度繰り返されると、このラウンドの利食価格は以下のようになります。
利食価格 = 総契約価額 - 利益目標 ×合計投資額 + 実現手数料注文サイズ × (1+0.06%)
= (14,312.12 - 2% × 26,000 + 8.5872) ÷ 0.5368 ÷ (1 + 0.06%)
= 25,694 USDT
シナリオ1:現在の市場価格は25,694 USDTです。
価格が25,900に下落したため利食注文がトリガーされ、市場価格で執行されます。トレーダーはループが実行されるように設定しているため、市場価格が利食価格に達するとボットは自動的に現在のポジションを決済し、新しいラウンドでポジション形成を開始します。ポジションが25,694USDTで決済されたと仮定すると、マーチンゲール戦略のこのラウンドでの実現損益は以下のようになります。
ポジション損益 |
(26,662 - 25,694) × 0.5368 = 519.6224 USDT |
総建玉手数料 |
8.5872 USDT |
決済手数料 |
25,694 ✕ 0.5368 ✕ 0.0006 = 8.2755 USDT |
このラウンドの損益 |
519.6224 - 8.5872 - 8.2755 = 502.76 USDT |
このラウンドの利益目標 |
502.76 ÷ 26,000 = 2% |
シナリオ2:現在の市場価格は25,980 USDTです。
市場価格はトレーダーに有利に動いていますが、利食価格までは下落していません。ボットは引き続き機能していますが、ショートポジションをこれ以上増額しません。市場価格が利食価格の水準に達した場合にのみボットは現在のポジションを決済し、新規に取引ラウンドを開始します。
シナリオ3:現在、市場価格の上昇が続いています。
現在、市場価格の上昇が続いているため、価格が2%上昇するごとにボットは自動的により高い価格でショート契約を追加します。このプロセスはラウンドあたりの最大額に到達するまで繰り返されます。その後もボットは機能し続けますが、これ以上ショートポジションは追加されません。
当初市場価格 |
1度目の2%上昇 |
2度目の2%上昇 |
3度目の2%上昇 |
4度目の2%上昇 |
5度目の2% 上昇 | |
参入価格 |
26,000 |
26,520 |
26,809 |
27,021 |
27,195 |
27,347 |
注文サイズ |
0.1 |
0.12 |
0.144 |
0.1728 |
0.2074 |
0.2488 |
最悪の場合、市場が反転せず、不利な方向に動き続けると想定します。この場合、お客様のポジションが強制決済されるリスクがあります。
マーチンゲール戦略は単純で、損失回復につながる可能性のある戦略ですが、固有のリスクと制約を伴うため慎重に検討する必要があります。単一サイクルにおいて高い利益目標を設定する際のリスクについて考慮し、ポジションのリスクを軽減するため適度な利益目標を設定することをお勧めします。損切りなどのリスク管理ツールを活用することで、不利な市況での強制決済リスクをさらに軽減することも可能です。
リスク
- 市場の変動:先物マーチンゲールの主な欠点は、市場が一貫してトレーダーに不利に動き続けると損失が無限に大きくなる可能性があることです。損失が無限に拡大するのを防ぐために、損切注文を設定しておくことが不可欠です。
- 高レバレッジ:先物マーチンゲールではトレーダーはレバレッジを50倍に設定することが可能ですが、市況が不利な場合に高レバレッジ取引を行うと損失が拡大するおそれがあります。高レバレッジ取引に付随するリスクを理解することが重要です。
- 強制決済:変動の激しい市場で高レバレッジ取引を行う際には、トレーダーのアカウント残高が急激に減少するリスクがあります。トレーダーの証拠金がMM(維持証拠金)を下回ると、現在のポジションが強制決済され、当初資金に回復不可能な損失が生じる可能性があります。強制決済のリスクを軽減するため、損切注文の設定をお勧めします。
注:
— 現在、先物マーチンゲール取引ボットでご利用になれるのは、USDT無期限契約のみです。
— 利食注文は条件付き成行注文として執行されるため、スリッページのために約定価格が利食いトリガー価格と異なる場合があります。極端なシナリオでは、スリッページのために最終利益目標が達成できない場合があります。
— 証拠金が不足しているとポジションの増額ができない場合があります。必要であれば、ボットを通じて投資額を増やすことができます。
— 先物マーチンゲールはサブアカウントではご利用になれません。
— 同時に利用可能な先物マーチンゲール取引ボットは最大で50です。
— 前回の取引ラウンドで獲得した利益は、その後の取引ラウンドには引き継がれません。
関連資料

